2014年4月1日にマドリードのセラーノ通りにある、国立考古学博物館がリニューアルオープンしました。この考古学博物館は1867年に建てられた建築物で、1871年から博物館として開館しています。博物館としての約150年の歴史の中で、何度も内部のリニューアルが実施されてきましたが、最後のリニューアルが2008年から5年もの月日をかけて行われました。そのおかげで、博物館内の展示スペースが約13%拡大され、身体の不自由な方も問題なく見学できるようになったということです。リニューアルオープンを記念して、4月20日まで一般市民に無料公開されており、最初の日曜日にさっそく見学に訪れてきました。長い期間の閉鎖後だったこともあってか、朝から入り口には長い列ができていました。
150年前の建物の外壁はそのまま残されており重厚ですが、入り口部分はニューアルされたばかりでモダンになっており、そのコントラストが印象的です。
入り口から中に入ると、下から上の階に先史時代から近代までの展示品が見学できるようになっており、スペインの歴史をその展示物を見ながらたどることができるような配置になっております。そして、最上階には、エジプトやギリシア文明の遺品コーナーも設けられておりました。
この博物館の中で最も貴重な遺産とされているのが、古代のコーナーに展示されている、「エルチェ婦人像」です。これは、紀元前5世紀から6世紀のものとされており、バレンシアの約150km南にあるエルチェという街で発見されたのでこの名前がつけられています。
発見されたのは1897年で、14才の少年が農作業をしていた時に偶然発見したそうです。そして、この婦人像にはまだ解明されていないことがたくさん残されており、この婦人が、女神か宗教的な仕事をしていた人かはたまた富豪の夫人だったのかということや、またこの婦人像の後ろに直径約18㎝、深さ16cmの穴が彫られているのですが、これが何のためにあるのかということです。
この古代コーナーには、紀元前4世紀の「バサ婦人像」も展示されております。エルチェ婦人像もこのバサ婦人像も美しい顔立ちが印象的でした。
マドリッドで芸術鑑賞となると、やはりプラドやレイナ・ソフィア芸術センターが人気がありますが、スペインの歴史に興味のある方には、この考古学博物館がなかなかの見ごたえがあるのではないかと思います。この博物館については、またご紹介したいと考えています。