「スペイン民主化の父」と国民から尊敬を受けていた、アドルフォ・スアレス元首相が3月23日に肺炎のため死去しました。81歳でした。亡くなる前の約10年間は、アルツハイマー病と闘っていたということです。
「民主化の父」というともう100年くらい前の人ではないのかと思われる方が多いと思いますが、皆さん、高校生のとき、世界史で勉強されたのを覚えていらっしゃるでしょうか?スペインは1975年、つまりたった約40年前まで、フランコによる独裁政治が行われていたのです。フランコが死去し、独裁体制が終了して初めて民主主義による政治が始められたのですが、その時の首相がアドルフォ・スアレス氏だったのです。
3月24-25日に、代議院(Congreso de los Diptados)に遺体が安置され、約3万人もの国民が弔問したといいます。その後、出身地のアビラに移され、アビラ大聖堂に埋葬されました。
今回のスアレス元首相の死去に伴い、在りし日を懐かしむ古い映像がたくさんテレビで放送されましたが、中でも1981年2月に発生したクーデターのときの映像がとても印象的でした。このクーデターは結局未遂に終わったのですが、テレビ中継中の国会で発生したのではっきり映像が残っているのです。国会の議事堂で銃が何発も発砲され、ほとんど全ての議員が伏せている中、スアレス元首相は毅然と議席に座っていたのです。そういうこともあり、とても尊敬される政治家の一人としてスペインでは慕われていたのでしょう。
元首相の埋葬の日、彼の功績を讃えるため、マドリッド-バラハス空港の名前を「アドルフォ・スアレス空港」と変更することが決定されました。これは、ニューヨークの「ジョン・F・ケネディ空港」パリの「シャルル・ド・ゴール空港」と同じです。
今後、マドリッドの空港を利用される時、また、アビラの大聖堂に行かれたときは、是非、今日の投稿を思い出してください。