スペインの日本さん?
不良債権をかかえ危機におちいっているスペインの銀行救済のために欧州から1,000億ユーロの支援を受けることになったなど、まったくいいニュースがない今日この頃のスペインです。この先どうなるのだろうと、スペイン国民の間では不安は大きくなるばかりですが、市民生活は通常通りで、(一家の大黒柱が失業している家庭も少なくないのですが、、、)観光などには全く影響はありませんので、これからスペインへのご旅行のご計画のある皆さまはご心配くださらないようお願いいたします。
真っ暗な経済ニュースとは逆に明るいニュースはいつもスポーツ界からですね。ナダル選手が全仏オープンで7回目の優勝をしましたし、先週の金曜日からポーランドとウクライナで開幕されたサッカー欧州選手権では、スペイン代表は上位に残るのは間違いなしです。
スペイン代表に選ばれている、ダヴィッド・シルバ選手をご存知ですか?現在、イギリスのプレミアムリーグ、マンチェスター・シティに所属しています。彼はカナリアス諸島の出身で、通称チノ(中国人)と呼ばれています。そういえば、イケメンのそのお顔にはアジアっぽいところがありますね?それもそのはず。ダヴィッドのお母さんが日本人の血を受け継ぐ方だということです。カナリアス諸島には昔からマグロ関係の日本人が多く働いていたというので、それも頷けます(シルバ選手の祖父母か曽祖父母がマグロ関係の仕事の人かどうかは定かではありませんが)。
その話を聞いて思い出したのが、今日の投稿の題である「スペインの日本さん」、名字がjapónという人たちのことです。スペイン通の方や歴史通の方はご存知の方も多いかもしれませんが、このjapónという姓は安土桃山時代から江戸時代初期の仙台藩士、支倉常長がスペインに行ったときに同行した家来たちの子孫ではないかという一説があります。
支倉常長はローマ法王に謁見するため、仙台を出発しメキシコのアカプルコを経由し、1614年にスペインのセビリア県コリア・デル・リオという地に上陸しました。その後陸路でローマまで行き、ローマ法王に謁見もできたのですが、この間に日本ではキリスト教の弾圧が始まり、ローマからコリア・デル・リオにもどったときに特にキリスト教に改宗した家来達は日本には戻らずその地に留まったということです。
1992年、セビリアで万博が開催された年に支倉常長が率いる遣欧使節団380周年の記念事業として、コリア・デル・リオの公園に支倉常長像が建立されました。先月セビリアに出張した夫が写真を撮ってきてくれました。
再来年の2014年は遣欧使節団がスペインに到着した年から400年になりますね。伊達政宗という偉大な主君の命をうけ、命をかけてヨーロッパへ渡りながら、日本がキリスト教を禁止する流れへ動いたために、帰国後不遇な対応を受けた不運の侍、支倉常長に思いを馳せながら今日の投稿を終わりたいと思います。