7月に入り、スペイン各地ではもう本格的な夏を迎え、マドリードでは毎日力強い太陽がかんかん照りつけています。
前々回のコラムで書いていますが、我が家はサッカーのバルセロナファン。しかも海が好きなのに、どうして海がすぐにそこにあるバルセロナに住まないのか、と疑問に思う方がいらっしゃるでしょう(そんなにいらっしゃるわけないですよね)?実は、老後は海から近いところに住み、犬を飼い、夕日を眺めながら海沿いの遊歩道を散歩するというライフスタイルを勝手に思い描いています。でも、今はバルセロナには住めないと思っています。もちろん主人がマドリードの会社で雇っていただいているということもありますが、そのほかに大きな理由があります。
それは、言葉の問題があるからです。バルセロナで普通に話されている言葉は、スペイン語ではなく、カタロニア語なのです。スペイン語という言い方は正しくなく、日本でスペイン語と言われている言葉はカスティージャ語と呼ばれています。カタロニア語の言葉でカスティージャ語に似ているものも多くありますが、でも方言という言い方はできないくらい、カスティージャ語とは違います。
学校でカスティージャ語を習うので、バルセロナをはじめ周辺のカタルーニャ地方でカタロニア語を話す人々もカスティージャ語も話せます。だから、私たちの外国人が暮らす分には不自由はしません。むしろ、カスティージャ語が母国語で早口でまくし立てるマドリードの人々の言うことより、ゆっくり話すカタルーニャの人々の話すカスティージャ語の方が聞きやすいです。しかし、学校で普通に話される言葉がカタラン語になるので、家庭で日本語を話すうちの息子たちにはかなりの負担がかかります。家では日本語、友達とはカタロニア語、学校でスペイン語と英語とフランス語などを勉強となったら、大変ですよねー。
そして、カタロニア語だけではなく、スペインにはその他、バスク地方の言葉、ガリシア地方の言葉、バレンシア地方の言葉など地方の言葉がいくつかあります。これらの地方の人々は、フランコ独裁時代に地方の言葉を使うことを禁止されていた歴史などから、地方を愛する気持ちがとても強く、よって国際交流が盛んになったこの時代に一見不便に思えるこれらの地方語を保護するという動きはまったく弱まっていません。
子供たちが独立するまではこのマドリードにいるのでしょうが、悲しいかな子供たちの独立もそんなに遠い将来ではないですねー。「バルセロナの風に吹かれて」とタイトルを変えていただく時も近いかもしれません(笑)。