イブから1月6日までのNavidad
べレン人形を飾るスペインのクリスマス
皆様も、どうかよいお年を…
11月の末ともなると、スペインにもヨーロッパ大陸からの寒気が入り、マドリードも随分寒さが厳しくなります。この頃から、クリスマス気分が大いに盛り上がってきます。マドリード市内のイルミネーションが始まり、マヨール広場もクリスマス用品を売る市場に変わります。
スペインでのクリスマスも、今年で8回目になりました。マドリード在住1年目のクリスマスの時は、スペインのクリスマスが、今までイメージしていたクリスマスの過ごし方と違うことに驚いたものです。
日本でのクリスマスは、クリスマスツリーにサンタクロース、生クリームたっぷりのデコレーションケーキが欠かせませんよね。しかし、ここでは、今でこそ他の国の風習を取り入れて、クリスマスツリーを飾る家も増えてきているようですが、伝統的なクリスマスの飾りは、ベレン人形です。
キリスト降誕の物語の登場人物を、箱庭風にして飾るのです。中には、水車小屋を本物の水を通して作る家もあるとか。それらのベレン人形やまわりの家などのグッズを売る小屋やその他の飾りを売る小屋がマヨール広場にできているのです。
そして、24日の夜の子供たちのお楽しみサンタクロースは、これもまた、最近ではスペインの家庭にも来る(?)ようになったのですが、伝統的なのは、東方三賢人(los Reyes Magos)が1月5日の夜に、プレゼントを持ってくるのです。
この翌日が、「主顕節」という祝日なのですが、クリスマスイブからこの日までが、スペインでのクリスマス(Navidad)になります。だから、クリスマスの飾りつけも、1月6日まで飾っています。
日本のクリスマスケーキのようなものは、こちらではクリスマスにはまったく見かけません。クリスマスに欠かせないお菓子は、トゥロン(アーモンドや椰子の実を砂糖や蜜で練り固めたもの)とマサパン(アーモンドの粉を砂糖と卵白で固めたお菓子)。11月の後半になると、どのスーパーマーケットもこれらのお菓子がたくさん並べられ始めます。私は、生クリームとイチゴのケーキの方がおいしいと思いますが。。。このクリスマスケーキって日本だけなんでしょうか?
クリスマスイブ(Noche Buena)の夜は、カトリック信者が多いスペインでは最も大切な夜で、親戚が集まってお祝いします。この夜の食卓には、第一のお皿にえび・カニ・さまざまな貝類などの魚介類、第二のお皿に子羊肉や七面鳥を料理するようです。この日は、若い子たちも、友達や恋人と出かけるのではなく、家族と一緒にお祝いし、敬虔な信者は、深夜から始まるミサに出ます。
大晦日(Noche Vieja)の過ごし方もご紹介しましょう。大晦日も家族(親戚)で集まって、夜にご馳走を食べます。そして、年が変わる12時には、プエルタ・デル・ソルにある警察署の時計台の鐘の音に合わせて、これはテレビ中継がありますので、ソルまで出かけない人はテレビの放送を見ながら、12個のぶどう(マスカット)を食べるのです。そうすると、新しい年を幸せにすごせると言い伝えがあります。日本の年越しそばのようなものですね。
この鐘の音は、普通の時報のテンポで鳴るので、早食いに慣れていない人は、あらかじめ皮と種を除いて準備しておかねばなりません。最近では、ちゃんと皮と種を除いたぶどう12個入りの缶詰も出ているんですよ。ぶどういっぱいの口のままで、スパークリングワイン(Cava)で乾杯、その後、ディスコに出かけたりして、大騒ぎします。
スペインでの年末年始も8回目となると、そろそろ日本でのお正月が恋しくなってきています。大騒ぎの大晦日もいいですが、こたつに入りながら静かに除夜の鐘を聞くというのもいい過ごし方だと思います。今年もあとわずか。皆様良いクリスマス・お正月をお迎え下さい。
森 茂子
1988年に結婚。1991年、1995年に男子を出産。横浜市磯子区でごく普通の母親・主婦として暮らす。97年の暮れに、主人の長年の希望であったスペインでの就職が決まり、家族での移住を決意。ビザの取得など準備をし始め、ご主人は98年5月、他の家族は8月に渡西し、現在に至る。趣味はパドル(テニスの小型版)とサッカー観戦。